イスラームと富
イスラームにおいて財産とは、人間に託されたアッラーの所有物です。それは一つの信託であり、ゆえに財産は合法的手段において稼がれ、費やされなければなりません。預言者ムハンマド(r)はこう言っています:
「しもべは審判の日、以下の事柄について審査されるまでは、歩を進ませることが出来ない:彼の時間と、彼がそれをいかに費やしたか。彼の知識と、彼がそれでもって何をなしたか。また彼の財産と、彼がそれをいかに稼ぎ、いかに費やしたか。そして彼の若さと、彼がそれをいかに過ごしたか。」(アッ=ティルミズィーによる伝承)
イスラームは、人が自分自身とその扶養すべき者たちを養うため、そして現世的諸事において堅固であるために、財産を求めることを奨励しています。また財産を有益なことに費やせば、アッラーからの報奨を得る一手段ともなり得ます。預言者ムハンマド(r)はこう言いました:
「アッラーは脆弱な信仰者よりも、強い信仰者を愛でられる。そしてそのいずれも善いのである。あなたを益する行為に熱心であり、かつアッラーのご援助を乞うのだ。そしてそこにおいて怠慢であってはならない。そしていかなる災厄があなたを襲っても、“ああ、もしあのようにしていたらなあ”などとは言わず、“これはアッラーからの定命。かれはお望みのことをなされる”と言うのだ。というのも“もし”は、悪魔の行いに通じる扉であるからである。」(ムスリムの伝承)
また財産に関しては、ザカー(義務の浄財)という義務の他にも、いくつかの義務があります。たとえば、ムスリムは財産によって現世と来世において自分自身を益しなければなりません。アッラー(I)はこう仰ります:
-「そしてアッラーがあなたに授けられたものでもって、来世を乞い求めなさい。しかし現世におけるあなたの分け前も忘れてはなりません。アッラーがあなたによくされたように、あなたもよい行いをするのです。地上で腐敗を働いてはなりません。実にアッラーは腐敗を働く者を厭われます。」,(クルアーン28:77)
また預言者ムハンマド(r)はこう言っています:
「正しい者に所有される穢れなき財産の、何と素晴らしいことか!」(イブン・ヒッバーンによる伝承)
またイスラームは、財産の浪費を禁じています。アッラー(I)は仰りました:
-そして近親の者と恵まれない者と旅人に、施すのだ。しかし浪費するのではない。実に浪費する者はシャイターン(悪魔)の同胞であり、そしてシャイターンはその主に対してこの上なく恩知らずなのであるから。,(クルアーン17:26-27)