ザカー(義務の浄財)
ザカーとは、比較的豊かなムスリムが貧しい者に物乞いの辱めを味わわせないようにするべく拠出する、ある一定額の財産のことです。これはある一定額の財産を有する全てのムスリムにとっての義務です。アッラー(I)はこう仰いました:
-そして彼らは純正な宗教の徒として、彼らの宗教をアッラーのみに真摯に捧げて崇拝し、サラー(礼拝)を行い、ザカーを施すことしか命じられてはいなかったのだ。そしてそれこそは正しい宗教なのである。,(クルアーン98:5)
尚、ザカーが義務付けられる条件には以下のようなものがあります:
1). 最低限の財産を所有していること:つまりその財産が、イスラーム法によって定められたある一定の額や量に達していなければなりません。
2). その財産を一年間通して所有すること:もしこの期間内にその財産が所有下から外れた場合、ザカーはかかりません。
またアッラーは、ザカーを受給する資格のある者たちについても明確にしています。アッラー(I)はこう仰いました:
-ザカーは貧者と困窮者、ザカー(の徴収)に携わる者、(それによって)心に親愛が生まれそうな者、奴隷の解放、債務に苦しむ者、アッラーの道にある者、そして旅人に与えられる。(それは)アッラーからの義務である。アッラーは全てをご存知で、かつ英知溢れるお方。,(クルアーン9:60)
一定の規準額に達した財産で連続一年間所有下にあったものは、その年にその額の2.5%を支払わなくてはなりません。イスラームはこれによってムスリム社会からの貧困の根絶を狙っているのであり、また窃盗や殺人や他人の名誉の侵害など、貧困に伴う様々な危険を防止するのです。またザカーは貧者のニーズを満たすことにより、ムスリム社会における相互扶助や同胞愛の精神をも育むのです。またザカーはある程度裕福な者の心から吝嗇や自己中心性、貪欲さやこの刹那的な現世への固執、欲望の耽溺など、窮状にある同胞を忘れ去らせるような全ての要素を取り除いてくれるのです。
そしてまたザカーは貧者の心も、富者に向けられる憎悪や嫉妬などの感情から浄化してくれます。彼らは豊かな者たちがアッラーの命に従って財産を施し、喜捨や善行などによって継続的に彼らに配慮を払うのを目にするのです。